あなたは、皮膚炎や腸の不調、花粉症や動物アレルギーなどを治療するために、医師からグルテンフリー生活をすすめられたことはありますか?
日本では、健康改善や減量に効果を期待して「ゆるグルテンフリー=出来るだけ体の中に入るグルテン量を減らす」目的の方がほとんど。しかし、グルテンフリーメニューを提供する飲食店やグルテンフリー食品がそろうショップはどこにでもあるわけではありません。
加えて最近ネットでは、グルテンフリーにトライしたものの挫折してしまい、「グルテンフリーなんて意味ない」といったネガティブな声もチラホラ。
今回は、あらためてグルテンが体にもたらす悪い影響、「グルテンフリー」と「小麦アレルギー」の違いも確認します。その上でグルテンフリーの必要性と上手に続けるコツを紹介していきます。
【目次】
グルテンフリーとは
グルテンは、小麦粉に含まれる「グリアジン」と「グルテニン」という2種のタンパク質が合わさってできる物質。
小麦粉に水を加えこねると、粘り気や弾力がでるのは、グルテンが作られるためです。
この性質を生かして、ふっくらとしたパンやコシの強い麺ができあがりますが、人の体内で消化・吸収が悪く腸内に留まってしまうことや、体にさまざまな問題を起こす可能性が指摘されています。
グルテンは小麦だけでなく、大麦、ライ麦、もち麦、押麦、古代小麦やスペルト小麦にも含まれています。
「グルテンフリー」は、こうしたグルテンを摂取しない食事であり、自己免疫疾患のセリアック病やグルテン不耐性の人は厳密に行わなければなりません。ヴィーガンと同じように制限が多いため、生活に取り入れるにはハードルが高い食事療法です。
グルテンが原因の不調や病気はたくさんある
私達が毎日のように食べているパンやうどん、ケーキなど、おいしいものにはグルテンが含まれています。そのグルテンこそが、体の不調や病気に繋がっていることはあまり知られていません。
食べ過ぎによることで発症する症状としては、以下のようなものが例として挙げられます。
ニキビや肌荒れ
血糖値の急上昇
内臓脂肪の増加
便秘や下痢
消化機能や基礎代謝の低下
栄養失調
小麦中毒
グルテン依存
倦怠感
慢性疲労
関節痛
関節のしびれ
「無性にパンが食べたくなる」「ラーメンがない生活は考えられない」などと日々感じている人は、すでにグルテン中毒が疑われます。原因が思い当たらない慢性的な不調を抱えていらっしゃる方も、グルテンが原因かもしれないのです。
参照:一般財団法人 製粉振興会
小麦粉の加工と製品
グルテンが体に及ぼす悪い働き
腹痛や下痢、嘔吐、原因不明の疲労などの症状は、ひとことで言えば腸内細菌のバランスが崩れかけている状態。正常な腸は、栄養を吸収したり、排除されるべき有害物質をブロックします。腸内細菌のバランスが崩れると、腸壁や粘膜の欠損によって有害なものを体に取り込んでしまいます。このような状態をリーキーガット(Leaky=漏れやすい+Gut=腸)と呼びます。
リーキーガットとは
腸の粘膜に穴があき、菌やウイルスなどの異物が血中に漏れ出す状態にあること。その影響は全身に及び、アレルギーや直接腸に関わる病気、うつなどの精神疾患、脳にまで影響が及ぶ場合もあります。
リーキーガットのような状態にならないようにすることで、さまざまな病気・症状の発症を防ぐことができるとも考えられます。では、一体どうすればいいのでしょうか。
結論から言えば、
・腸のバリア機能が正常に働かなくなってしまうような習慣を改善する
→たとえば過食や偏食、不規則な生活、精神的ストレス、抗生物質の服用など
・精白していない穀物(玄米やオートミールなど)や新鮮野菜など、生きた食べ物といわれ るものを積極的に摂る
→腸内バランスを良好に保つ
・腸を傷つける原因のひとつ、グルテンの摂取を控える
何事も、土台がしっかりしていなければ始まらない!というわけです。
参照:JSOM/
Leaky Gut syndrome(腸もれ症候群) あなたの腸は穴だらけかもしれない?
グルテンの摂取を減らすと期待できる良い効果
マイボイスコム株式会社が発表したグルテンフリーに関する調査
これによると、一般的にグルテンフリーの認知率はある程度あり、
・なんとなく健康によさそう
・血糖値の上昇を防ぐ
・ダイエットによい
・腸内環境によい
などがグルテンフリーのポジティブなイメージです。
一方で、
・好きなものが食べられない
・ストレスがたまる
・めんどくさい
といったネガティブ反応があります。
最近ネットで呟かれている「グルテンフリーなんて効果ない」という意見ですが、実はある意味で正しいのです。というのも、グルテンフリーはそもそもセリアック病の患者さんのための食事法。セリアック病でない人が、グルテンフリーのルールを厳密に守ることは意味がありません。
しかしセリアック病でない人が、グルテンフリーをすることは全く意味がない、というのは誤りです。
病院でもアレルギーテストを受ければわかりますが、日本人の中にもグルテンが体に合わない体質の人や小麦アレルギーの人がいます。試しに一定期間(たとえば1カ月程度)、食事やおやつに小麦(グルテン)を含むものを口にしないと、
・体が軽くなった
・肌がきれいになった
・お腹の調子が良くなった
など、体験者の多くが、明らかな良い体調変化があったと答えています。
参照:PR TIMES
【グルテンフリーに関する調査】グルテンフリーの認知率は8割。
現在実施している人は5.4%、「ほぼグルテンをとらない食生活を実施」が0.5%、
「グルテン摂取を減らす食生活を実践」が4.9%/
日本にはない海外のグルテンフリーの認証基準
グルテンフリー表示はそもそも、セリアック病の患者さんが食べても大丈夫ですよ、という意味のマーク。グルテンフリー食品の認証基準は、食品に含まれるグルテンの量によって決まりますが、各国でルールは若干異なり、アメリカではグルテン濃度が20ppm未満のとき「グルテンフリー」と表示することができます。
参照:FDA
くり返しになりますが、セリアック病でない人にとって、グルテンフリーの表示の有無は、さほど意味はないというのが本当のところです。
ちなみに、日本でみかける表示としては、
・販売店が独自に記載している「グルテンフリー」や「ノングルテン」の表示
・グルテンフリー認証組織(GFCO)が認定した「GFマーク」
・米粉製品ノングルテン認証機関が認定した「ノングルテン米粉認証ロゴ」
などがありますが、今のところグルテンフリーという表示について標準化されたルールがありません。なぜなら、アメリカのFDA(食品医薬品局)の基準に従うとすると、小麦成分を含む多くの和食は、グルテンフリーではなくなってしまいます。欧米のグルテンフリーという基準に、日本は必ずしも適していないのです。
参照:農林水産省/ノングルテン米粉について
★豆知識★
醤油は小麦が原料ですが、小麦に含まれるタンパク質は醸造の過程で分解され、製品となった醤油の中にはほぼ残っていません。小麦のアレルゲンも、ほぼ分解されて残っていないため、醤油はほとんどの小麦アレルギーの人が摂っても大丈夫といわれています。※100%ではないので、購入時にお店に確認をしましょう。
飲食店側の基準、求められるルール
日本は、グルテンフリー認証が遅れていて、表示基準も決まっていません。ですからレストランなど飲食店にあるグルテンフリーメニューは、店舗の責任で提供している商品です。間違ってグルテンが多く含まれている商品が提供されていたとしても、国から処分を受けることもありません。
では、お店のグルテンフリー表記は、信用のおけないものなのでしょうか。
グルテンフリーメニューは、そうでないメニューより、手間も原材料コストもかかると言われています。おいしいものは、ほとんどグルテンを含んでいるといっても過言ではありません。利益だけを重視するのであれば、わざわざグルテンフリーの商品を販売するでしょうか。
誰もが気軽に食事やお菓子を楽しめるようにとの想いで、グルテンフリーメニューや食品を開発するオーナーや作り手もたくさんいます。グルテンフリー食を必要としている人は、日本でも増えています。
グルテンフリーに関する情報やメリットが正しく伝わり、お店も増えて買い物がもっと便利になれば、私達のさらなる健康維持にも繋がるはずです。
アインソフオンラインストアでは、グルテンフリーのスイーツやお食事を様々ご用意しています。
セリアック病は小麦アレルギーとは違う
米国では300万人もの人々がセリアック病といわれますが、治療法はなく、病気を管理する唯一の方法は、生涯グルテンを食べないようにすることです。単に小麦を避けるだけでなく、1日50mgを超えるグルテンを体に入れない、グルテンフリー表示がある製品のみを医者の指示に従って摂らなければなりません。
参照:FDA/食品のグルテンフリー表示
私達は、知らず知らずのうちに、多くのグルテンを摂取しています。ラーメン、パスタ、菓子パンなどを止めるだけで、かなりの量のグルテンを減らせます。
グルテンフリーを厳密に実行しようとすると、食品を探すところで行き詰ってしまいそうですが、ネット通販を使えば、普段からよく使う食材や調味料を手に入れることができるようになりました。
食べられるものがない!グルテンフリーなんて敷居が高すぎる!と感じる人も多いかもしれませんが、グルテンフリーのルール(欧米のセリアック患者用)に従って行うのではなく、体の中に入るグルテンの量をできるだけ少なくすることや、部分的にグルテンを抜く「ゆるグルテンフリー」に主眼を置けば、誰でも簡単にグルテンフリーにチャレンジできます。
小麦の代替品にはどんなものがある?
小麦粉の代替としては、
・米粉
・そば粉
・きな粉
・大豆粉
・コーンスターチ
・アーモンドプードル
・タピオカ粉
・片栗粉
などいろいろあります。特に米粉は、油の吸収率も小麦粉より少なくヘルシー。アミノ酸
スコアも米粉のほうが高いです。もちろんヴィーガンもOK。
参照:米粉基準
日本人の主食である米、そのほか肉、魚、野菜、果物、チーズ、ナッツ、そば(おもに十割)、豆腐など、単に小麦を含まない食べ物はたくさんあります。加工品の原材料には確認が必要ですが、食べられないものが多いというのはイメージに過ぎないことがおわかりいただけるでしょう。
★豆知識★
大人気のオートミールは、グルテンフリーなのでしょうか。オートミールの原料はグルテンを含まないオーツ麦なので、グルテンアレルギーを持っている人にも安心といわれますが、コンタミネーションの問題や、製品の中にほかの穀類が含まれていないかなどにも注意が必要です。
グルテンフリーについては、 AIN SOPH.のこちらの過去記事も参考にしてみてください。
グルテンフリー製品を買うときの注意点
現実的には非常に難しいですが、食べるもの全てを材料から手作りすることができれば、グルテンフリーは可能です。
選ぶ際のポイント
・なるべく無添加
・グルテンフリー認証組織(GFCO)の認証品
・糖質、脂質、カロリーをチェック
グルテンフリー認証マークのついた食品は、身近なところではなかなか見つからないと思います。また、グルテンフリー商品の中には、添加物や味を調えるために糖質や脂質が多い場合があるので、注意が必要です。
参照:GFCOによる製品の認証
ゆるグルテンフリーであなたも毎日を快適に
グルテンフリーを実践しても、すべての不調や病気が治るとか、すぐに痩せるわけではありません。効果も人それぞれです。
ただ、健康習慣としてグルテンフリーをゆるく取り入れたり、食事の栄養バランスを考える目安にしたりするのはメリット大。それこそが、グルテンフリーを続けるコツなのです。
グルテンフリーダイエットを始めるなら、あまり神経質にならずに取り組むのがおすすめ。
こだわり過ぎると、一般的な食生活からかけ離れてしまいます。年齢やライフスタイルを考慮して、小麦を使わない食品を上手に取り入れてみることから始めてみてください。
アインソフ直営店舗(東京・京都)ではグルテンフリーメニューのオプションもご用意しております。各店舗のHPよりメニューでご確認いただけます。
グルテンフリーのメニューには、GFマークを付けております。
※製造工場や店舗では、本来その商品に含まれていない他のアレルギーが意図せず混入してしまう可能性があるため、アレルギーをお持ちのお客様は店舗にてプレゼンターにお問い合わせください。アレルギー対応メニューではないこと、ご理解、ご了承くださいませ。
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