
世界中で急速に増えつつある、ベジタリアンやヴィーガンに代表される菜食主義者。
みなさんの周りには、ベジタリアンやヴィーガンを実践する方はいらっしゃいますか?
「ヴィーガンって何?ベジタリアンと何が違うの?」
「粗食で味気がなさそうだけど、おいしいの?」
「言葉は知っていて興味があるけど、実際にはどこで、どんなものが食べられるの?」
上記のようにヴィーガンのことが疑問だらけの方も多いと思います。
そこで日本のヴィーガンレストラングループのAIN SOPH. (アインソフ)で提供している料理やスイーツがどんなものなのかをお伝えするためにも、今回は「ヴィーガンの歴史」「今ヴィーガンが再注目される背景」「ヴィーガンを日常生活に取り入れるメリットやデメリット」などをご紹介します。これを読んだあと、あなたにもヴィーガンを身近に感じてもらえたらうれしいです。
<目次>
2.ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビ、プラントベースの違い・種類
4.ヴィーガン(ビーガン)が不健康とみなされる矛盾とデメリット
5.なぜヴィーガン(ビーガン)になるのか?実践する理由とは?
7.世界・日本にどのくらいベジタリアンやヴィーガンがいるの?
8.なぜ今ヴィーガンが話題なの?世界中でヴィーガン(ビーガン)が再注目されている理由とは?
ヴィーガン(ビーガン)とは?意味を解説

「ベジタリアン」と「ヴィーガン」は、菜食主義の代表格です。
肉と魚だけ食べないベジタリアンよりも、さらに食事内容が制限されるヴィーガン(ピュア・ベジタリアン)は、乳製品、卵、蜂蜜も食べません。何より大きな違いは、単に食生活を表すベジタリアンに対して、ヴィーガンは食を含むライフスタイルや思想、哲学も含みます。
ベジタリアンとヴィーガンの歴史
ヴィーガン(Vegan)は1944年、イギリスのヴィーガン協会の創業者ワトソン氏が発した言葉です。一方、ベジタリアン(Vegetarian)という言葉はその100年も前、1842年にイギリスの書物(Alcott House Journal)に記されています。語源については「ベジタブル(vegetable)」ではなく、ラテン語の「vegetus=健全な、生き生きとした」に由来しているそう。ベジタリアンを元にして生まれたのがヴィーガン(「Veg-etari-an」の太字部分だけ取って「Vegan」)です。
参照:International vegetarian union
https://ivu.org/history-legacy-pages/world-veganism-past-present-and-future.html
ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビ、プラントベースの違い・種類

現在、ベジタリアンは細かく区分されています。
ベジタリアン
・オボ・ベジタリアン(Ovo-vegetarian)
菜食で肉・魚は食べないが、卵・乳製品は食べる。
・ラクト・ベジタリアン(Lacto- vegetarian)
菜食で肉・魚・卵は食べないが、乳製品は食べる
・ラクト・オボベジタリアン
菜食で肉と魚は食べないが、卵・乳製品は食べる。
・ペスコベジタリアン
菜食で肉は食べないが、魚・卵・乳製品は食べる。
・セミベジタリアン
菜食で時々肉は食べるが、肉を基本的には避けている。
ヴィーガン(vegan)
・ヴィーガン(vegan)
菜食で肉・魚・卵・乳製品・蜂蜜など動物に由来するすべての食品を食べない。
その他
・ペスカタリアン(Pescatarian)
ベジタリアンや日本の精進料理に近いスタイルで魚も食べる。
・マクロビアン(Macrobian)
「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」がベースとなった玄米菜食。
・フルータリアン(Frutarian)
植物でも本体を殺すことなく採取できる果実やナッツなどを食べ、穀物や調理加工されたものを採らない。
マクロビオティックとヴィーガンとの違い
マクロビオティック(Macrobiotic)とは、自然と調和して生きる生活法で、独自の東洋思想をもとに食べ物を選択します。古代ギリシア語「マクロビオス」に由来、Macro=大きい、bio=生命・生きる、tic(tique)=術・方法という意味合いです。ベジタリアンと同様、菜食を中心としますが、肉類や魚介類、卵や乳製品も厳格には禁止していない点がヴィーガンとの大きな違いです。
マクロビオティックの3つの原則
・「身土不二(しんどふじ)」
人間の体(身)は、その生活する環境(土)とつながっており、季節ごとの旬の物を取り入れることで、体をその気候に順応させ健康を保つことができる。
・「一物全体(いちぶつぜんたい)」
生き物は一部が欠けることなく、丸ごと全体であることでバランスが取れている。食材も丸ごと食べる。穀物は精白していない物を選び、野菜は皮や根を取らずに丸ごと調理する。
・東洋の思想「陰陽(いんよう)」
あらゆる物事は、陰と陽の2種類の力が働く。食べ物にも陰陽がある。
この法則によってバランスをとり、どちらにも偏らない「中庸(ちゅうよう)」を目指す食事。
プラントベースとヴィーガンとの違い
「プラントベース」とよく混同されがちなベジタリアンやヴィーガン。
プラントベース食品とは、植物由来の原材料を使用し、畜産物や水産物に似せて作られているもの。たとえば、大豆や小麦などから、肉、卵、ミルク、バター、チーズなどの代替となる加工食品があります(消費者庁)。つまりヴィーガンは「どう生きるかというライフスタイル」なのに対し、プラントベースはあくまでも「どう食べるかという食のスタイル」です。
参照:植物性料理研究家協会
https://plant-origin.org/plantbase-merit/
消費者庁 プラントベース食品って何?
https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/assets/representation_cms201_210820_01.pdf
ヴィーガン(ビーガン)食は健康なのか?メリットを紹介

肥満や生活習慣病は、海外と同様に日本でも深刻な社会問題ですね。健康のために菜食を実践する人はおのずと増えています。ヴィーガンのような菜食生活は病気のリスクを下げる、動物性食品を食べないことが健康維持に効果的であるいう医学的エビデンスが世界中で発表されています。世界保健機構(WHO)が牛肉を発ガン性物質に指定したことは記憶に新しいですが、他にも血管系の疾患に繋がると言われる飽和脂肪酸やTMAOなど、「動物性食品の食べ過ぎは健康に良くない」という認識が広まっています。また、肉を摂取しないことは、そもそもBSEやSARS、鳥インフルエンザなどの感染症リスクを避けることでもあります。
植物性食品はなぜ体に良いのでしょうか。腸内環境を整えるメリットがあること、たとえばリンゴやブルーベリー、アーモンド、オートミールなどは善玉菌が増えるとの研究結果もあります。善玉菌と聞くとヨーグルトが挙がりそうですが、牛乳でお腹を壊すという症状を聞いたことはありますか?これは牛乳に含まれる乳糖が関係しているようで、この乳糖は、私たち人間(成人)のお腹で消化できない成分とされています。ヴィーガンは、牛乳のかわりに植物性ミルク、たとえば豆乳やアーモンドミルク、オーツミルク、ココナッツミルクなどを飲みます。
★豆知識★
スターバックスコーヒーは2030年までに、二酸化炭素排出量削減のため牛乳を植物性ミルクに移行することを発表しました。このように環境配慮の面からも、植物性食品は支持が高まっています。
参照:Food Revolution Network (FRN)